新型コロナウィルスとヨガスートラの教え

コロナウイルスパンデミックの状況は、ライフスタイルの変化、経済状況、そして我々の社会などいくつもの視点から見ることができます。そして、ソーシャルディスタンス、テレワーク、自主的自宅待機という新しい習慣や言葉が飛び交うようになりました。

こんなに不透明で苦しみが存在する状況の中でヨガの哲学にヒントを少しもらえるかもしれません。

西暦400年前後にインドのパタンジャリ(Pantanjali)は、サンスクリット語で196のヨガ格言(一般的な真理を含む簡潔な観察)を集め融合させ、ヨガの古代伝統、理論、哲学、習慣は全はヨガスートラに含まれました。

今回のパンデミック状況は、ヨガスートラ2章15に当てはまるかもしれません。

2章15

「変化、憧れ、習慣、グナの活動は全て苦しみの原因となる。実際、偉大な人も苦しみ、苦しみはいたる所に存在する。」

 

何が苦しみを産むのでしょうか。

ヨガスートラ2章15によると苦しみを産むのは「変化、憧れ、習慣、グナの活動」の4つです。これらから発祥した苦しみは残念ながら現在の世界の状況にも見て取れます。

変化:コロナウイルスは感染した人だけでなく、出勤できず在宅勤務する人、仲の良い友達から距離を取らないといけない人など、多くの人の人生にネガティブな影響を与えています。

憧れ:このパンデミックが終息し元の生活に戻れる時に対して。

習慣:パンデミックの中、外出の自粛が原因で良くない習慣が身についている人も少なくありません。今回のように引きこもる事が必要な時もあると考えますが、それにより不健康な食生活、運動量の低下、モチベーションの低下が起こりえます。

グナの活動:最後の苦しみを産む原因がグナの活動。これは体内の様々なエネルギーバランスの変動のことです。コロナウイルスの影響で普段の生活習慣の多くは変わり、色々な分野での不透明さが増し、様々なバランスを崩しています。

 

ヨガスートラ2章15の後半は「苦しみはどこにでもあり全ての人が経験している。」と厳しいけれど正しいことを書いています。

苦しみを避けることはできません。ですが、ヨガスートラはこの苦しみを和らげる手段は存在するとしています。原因が何であれ苦しみを和らげるのに必要なのは、自分の体とより密に関係を持つことで困難な状況への変化でも平常心で対応できるようになるため、より「明確な知覚を開発」することだとパタンジャリは言っています。

(心の平静:Equanimity)

 

「明確な知覚を開発する」とはどう言うことか?

これは“Still Mind”として説明されていて、バランスを考えながら平常心を保つことで環境の変化に落ち着いて対応できその時の感情に流されないことです。

では、“Still Mind” はどのように取得できるのでしょうか。

  • マインドフルネスな瞑想の実施、これで自ら一つ一つの変化を認める。

  • アーサナの練習を続ける、これで努力を継続。

  • 深呼吸とマントラ瞑想の中で幸せと不幸は自らの行動で決まるという考えに集中。

 

最後に

ヨガスートラによると、ネガティブな環境変化で人の人生に影響があった時、人は解決方法を模索するとしています。苦しみを味わう事によって、ポジティブな変化への最初のステップとなり、努力の継続と感情に左右されないという意思が苦しみから解き放ってくれます。

変化が起こった時、その変化が最終的にポジティブになるかネガティブになるかは最後までわかりません。その中でも、この未来の結末はわからないと理解し、明確な知覚を開発し、苦しみを受け入れる準備はできます。自分が唯一コントロールできるのが自分の行動です。落ち着いて、優しさと思いやりのある行動が取れるよう心がけることが大切です。

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